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研究の目的
  本応募領域(以下、本領域)では、流体・固体ヘリウムをはじめとしてアルカリ原子気体、ルテニウム酸化物など超純粋(スーパークリーン)試料が得られる物質系において、最近我が国の若手研究者によって続々と発見された新奇な低温量子相や低温量子多体現象の解明を通じて、それらの背後にある新たな物理概念を創出し、21世紀の物理学や物質科学の発展に資することをめざす。

研 究 項 目 ・ 内 容
研究項目A01 相関制御で実現する新しい量子流体相
粒子密度、圧力、同位体置換など精密相関制御が可能な2次元フェルミ粒子系スーパークリーン物質 (2次元3He、2次元有機化合物、2次元遷移金属酸化物)の低温量子相を研究することで、 新しい物理概念を創り出す。
2次元ヘリウムの量子物性  研究代表者: 福山寛 
2次元ヘリウム3の局在転移近傍に現れる新奇な量子相を超低温度まで実験的に調べる。これを種々の理論計算と比較してミクロな機構を解明する。また、未発見の2次元ヘリウム3の超流動相や2次元ヘリウム4で期待される「超流動固体」状態の探索も行う。
量子臨界点近傍に現れる新奇量子現象の解明  研究代表者: 今田正俊 
強相関電子系のモット転移近傍で見られるギャップレス量子スピン液体相、量子臨界現象、新しい量子多体相の可能性、自己組織化の形成機構を実験・理論両面から調べ、2次元ヘリウム3を内包するフラストレーションのある2次元強相関フェルミオン系の一般概念を探る。
研究項目A02 低次元ヘリウムの創製と新量子物性探索
ナノサイズの細孔にヘリウムを閉じこめ、1次元、0次元のヘリウムナノ流体・固体を実現する。 次元性・相互作用・乱雑さの制御により、新しい量子物性を探索・解明する。
ヘリウムナノ構造における新しい量子多体現象  研究代表者: 白濱圭也 
多孔体にヘリウムや水素などを閉じ込めることで「ヘリウムナノ構造」を実現し、原子相関・次元性・乱雑さを自在に制御可能な「スーパークリーン強相関ボース系」を創製する。比熱・超音波・圧力等の多様な測定手段による物性研究から、この系のもつ新しい物理を探究する。
1次元ボースおよびフェルミ流体の量子物性  研究代表者: 和田信雄 

ナノサイズの細孔内にヘリウムを吸着させて「1次元ヘリウム量子流体」を実現し、新しい量子物性を解明する。超低温での超音波・比熱・NMR測定から4Heでの1次元超流動、1次元3Heにおけるフェルミ縮退の1次元不安定性や朝永−ラッティンジャー液体状態を探索する。

研究項目A03 ボース超流体と量子渦
スーパークリーン量子流体で初めて研究が可能な、量子渦に代表される位相欠陥の統括的かつ 先端的な研究を進め、未踏の研究領域を開拓する。
量子渦の物理と新しい超流動乱流の研究  研究代表者: 坪田誠 
量子コヒーレント凝縮系特有の位相欠陥である量子渦と渦格子形成のダイナミクスを、超流動ヘリウム・原子気体BECを舞台に理論・実験の両面から研究する。新しい超流動乱流遷移の全貌を解明し、超流動乱流を古典乱流の理想的な雛型として提供することをめざす。
内部自由度を持つ原子気体の超流動性  研究代表者: 上田正仁 
アルカリ原子気体BECのもつスピンテクスチャーの局在制御性を駆使し、合成角運動量F=2の87Rb-BECについて、基底状態の磁場依存性、磁気副準位間の量子揺らぎ、バイナリー・スピノールBECの超流動、量子渦近傍のスピン網目構造を理論と実験両面から解明する。
研究項目A04 異方的超伝導・超流動
ルテニウム酸化物と超流動ヘリウム3で期待される、クーパー対の内部自由度に起因する 新しい巨視的量子現象を創生、解明する。
異方的超伝導に特有の新量子現象  研究代表者: 前野悦輝 
Sr2RuO4のスピン3重項超伝導状態について、秩序変数の軌道−スピン相互作用による集団励起運動、磁場によるベクトル秩序変数の制御、共晶析結晶を使ったNS接合系での新奇な近接効果など、内部自由度をもった超伝導状態に特有の新量子現象を多角的・集中的に研究する。
超流動ヘリウム3の異方的秩序変数とその制御  研究代表者: 石川修六 
p波スピン3重項のクーパー対をもつ超流動ヘリウム3について、回転下の新しい量子渦、エアロジェル中の新しい超流動相の秩序変数と量子渦構造、固有角運動量の有無の確定、テクスチャーなどを、回転核断熱消磁冷凍機とNMR法を駆使した実験と理論両面から解明する。
研究項目A05 量子結晶とリング交換
3次元および2次元固体ヘリウム3において原子のリング交換がもたらす新奇な量子磁性状態を、 新しい超低温測定手段と理論的アプローチによって解明する。
量子固体の磁性と結晶制御  研究代表者: 石本英彦 
2次元固体ヘリウム3の核磁性を超低温まで調べ、予測される磁化プラトーやスカラー・カイラル秩序など新奇な磁性相を探索する。NMRイメージング、超音波・光学測定などの実験手法を駆使して量子結晶の磁気的結晶成長制御への道を開く。
リング交換が生む新奇な磁性状態の解明  研究代表者: 桃井勉 
リング交換相互作用が生む量子スピン液体状態、スピン・ネマティック相、ベクトル・カイラル相などに新奇な磁性状態を理論的に詳しく調べる。また、2次元ヘリウム3の局在相や流体相で実験的に観測されている特異な磁性についてミクロな解明をめざす。
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